◆ホルモン療法コラム

不眠、抑うつ、性欲低下、セックスのクオリティーの低下、体型の変化など、「20代の頃はあんなじゃなかったのにな〜」と、30歳前には想像もしなかった老化という変化、どうやら「テストステロン」という男性ホルモンが主犯格のようです。
 
上に述べた訴えの方、男女問わず、テストステロンを補充ないし増す治療を行うと、途端に改善します。不眠には睡眠薬、うつには抗うつ剤、EDには勃起不全治療薬、「若い頃はこんなことなかったのに」年取ったら、こんなに薬飲まなければならないのはおかしいですよね?しかも、薬飲めばそれらの症状が完全になおりますか?加齢によってホルモン分泌が低下しておこっている事なのですから、ホルモンレベルを底上げしてあげなくては、根本的改善はないのです。
 
臭いものに蓋をする治療と臭いものをどうにかする治療。選択するのは自由です。もちろんうつ病とくに大うつ病といわれるものはホルモン療法だけでは解決しませんし、全てホルモン療法で解決するわけでもありません。21世紀に入り久しいですが、中枢神経に対するホルモンのメカニズムは殆ど解明されていないのです。
 
未知なものには恐れを抱くのが人間には備わっており、それは患者、医者ともにいえることで、今日の日本のホルモン補充療法を取り囲む状況はそうです。
 
一方アメリカでは、全米よりエグゼクティブが集まって来るホルモン療法のクリニックで研修をうけて驚いたのは、訴訟大国であるアメリカですから、よっぽどホルモン補充のリスクなどについてしつこく訊いてくるのだろうと思っていたら、「そうですか、お願いします」の二つ返事!!「ガクッと」かるい肩すかしをくらったのでした。北米、南米、世界中からはるばるやってくる彼ら彼女らは、知人や身内がそのプログラムを既にやっているなど、治療がQOLを格段に上昇させる事をすでに知っており、無理くり都合つけてやってくるのです。
 
私が日本の婦人科で更年期障害のマダムに「ホルモンて言っただけで拒否反応されるんだろうなー」「でも症状よくなるからなー」っとホルモン療法を提案するのとは、先方のモチベーションが全くちがったのでした。ホルモン療法で最も問題となるのが、疾病リスクの増加、特に癌でしょう。
 
まずご理解頂きたいのは、ホルモン補充療法が目標とするホルモンレベルは、若かりしころのピークレベルよりもかなり低いレベル(およそ20〜30%)であるということです。それでも充分QOLの改善がはかれるのです。ホルモン依存性の腫瘍といって、ホルモンが腫瘍の進行を推進する場合がありますが、私は悪性腫瘍を発生させる発癌性にかんして無関係だとは言えませんが、現在のところ、関係性を大きく支持する証拠がありません。米国で発癌、心臓血管病の発生率が上昇する結果が出た臨床試験は、化学合成のホルモン製剤が使用されたものなので、必ずしも性ホルモン補充療法が発癌リスクを増す事を意味しないのです。
 
日本の女性更年期医療においてテストステロン使用の歴史は30年以上ありますが、日本のホルモン療法離れが拍車をかけて、無視されているのが現状です。最新刊の女性の更年期障害の教科書に全く触れられていないほどです。そうこうしている間に、ここ数年ヨーロッパの医師を中心にテストステロンのQOL向上効果が男性、女性において急激にクローズアップされてきているのです。
 
テストステロン低下によるQOLの低下は、バリエーションはありますが、男性において50歳前後以降、女性においては60歳前後以降におこってくる傾向が多いようです。テストステロンの血中濃度は個々でバリエーションがあり、正常範囲の線引きが難しく、自覚症状を加味する必要があります。男性更年期は睾丸のホルモン分泌能の低下によっておこってくるのですが、現在私が注目しているのは、30代からストレスの影響で、性腺である睾丸のホルモン分泌を刺激する、中枢神経からの性腺刺激ホルモンの分泌が低下する、性腺刺激ホルモン分泌低下症です。30代男性で、意欲の低下、性欲と性機能の低下、筋肉の減少による二次的な肥満、精子数低下による男性不妊、などは潜在的に性腺刺激ホルモン分泌低下症がある可能性があるのです。
 
心当たりのある方はご相談ください。
 
院長 斎藤 糧三
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